全館空調システム「エコブレス」とは?特徴やメリットやデメリットについて解説

家の中の温度を一定にすることができる全館空調システムは全国で開発され、近年は需要が増えつつあります。北海道生まれの全館空調システム「エコブレス」はどんなシステムなのでしょうか。特徴やメリット、デメリットを詳しく解説します。

筆者の家もエコブレスを採用しました!

目次

エコブレスの特徴とメリット

  • 床下の熱源で家全体の暖房が可能
  • 第2種換気できれいな空気&計画的な換気
  • 自然対流なのでダクトが不要
  • 高い住宅性能と省エネ効果

エコブレスの実績

エコブレスは北海道にある「株式会社から屋」という工務店が特許を持つ空調システムです。2019年にはノーステック財団の「札幌型環境エネルギー技術開発支援事業」に採択され、2022年には北海道経済産業局による「北国の省エネ・新エネ大賞 優秀賞」を受賞しており、下記の点が評価されています。

  • 寒冷地において施工実績が少ない第2種換気を活用して、導入時・導入後ともに低コストかつ高い省エネ効果を実現。
  • ダクト不要かつ簡易なフィルター清掃など、エンドユーザーによるメンテナンスの手間が軽減。
  • 産学協同研究の独自技術により、コスト削減やメンテナンス性の向上が図られており、北海道発の唯一無二の省エネ全館空調システムとして、全国の省エネ住宅への普及が期待。

参考文献:経済産業省 北海道経済産業局 令和3年度「北国の省エネ・新エネ大賞」の受賞者を発表します

床下暖房で家全体を暖かく

エコブレスは床下の空間に温水暖房やエアコンなどの熱源を設置し、暖められた床下の空気が上昇することによって空気を循環させます。計算に基づいて床のガラリ、風道を設置し、各部屋に暖かい空気を送り、家の中の温度ムラを抑えることができます。空気が循環していながらも風を感じないため、不快感がありません。

部屋に暖房機器を置かないことで広くスッキリして見える!

家全体が暖かくて快適なのと、子供が火傷をする心配がないので安心です。

第2種換気を利用した空調設計

第2種換気とは、ファンで室内に外気を取り込み、押し込まれた空気によって室内の空気を排気口から自然に排出させる換気システムです。外気温に影響されることなく一定の外気を取り込むことができるほか、PM2.5や花粉等の汚染外気をきれいにしてから室内に取り入れるので、室内空気がとても清々しく清潔に維持されます。

各部屋への送風装置や空調ダクト等を必要としないダクトレス設計なので機械音が少なく静かです。空調機器は給気の1台のみのため、換気にかかる電気代を抑えることができます。

パッシブ換気にも興味がありましたが、夏場に機能するかが不安で…。
第二種換気の方が確実に外気を取り込むことができると考えました!

機械が1台だけなので掃除がラクで、メンテナンス費用も少なくて済みそう!

第二種換気は壁内に結露ができる?

「第二種換気」と聞いて、最初は不安に感じていました。

第2種換気は病院などクリーンルームで用いられていることが多く、住宅に不向きと考えられていた理由として、室内の正圧によって壁の中に湿気が侵入し、壁内に結露ができると言われていたからです。壁内に結露ができてしまうと躯体の木材や断熱材の劣化が発生します。

「それでは困る!!」と思い、担当者に確認したり色々と調べた結果、防湿・気密シートをしっかりと施工することによって防ぐことが可能とわかりました。

筆者は「シートをちゃんと施工すれば大丈夫ですよ。」と口で言われてもそれだけでは信用しきれない性格なのですが、大学教授や専門家の論文やコラムを読み漁り、納得して選択することができました。

家の空気に関することはこちらのコラムがとても参考になります。若干難しい内容の記事もありますが、何事もしっかりと調べて家を建てたい!という方にお勧めです。

↓ 第二種換気についてのコラムはこちら

高い住宅性能と省エネ効果

エコブレスの特徴である自然対流はすべて計算に基づいて設計されており、その通りに機能させるためににはまず気密性能が重要となります。気密性が低いと予定外の場所からの空気の侵入や排出が起こり、空気の流れが変わってしまうためです。気密性の確保と防湿対策のために、高い施工技術が必要となります。

また、自然対流冷暖房によって家中を快適な温度に保つためには断熱性能が必要です。こういった高い住宅性能と最小限の冷暖房設備によって省エネ効果が高くなり、光熱費を削減することができます。

我が家の場合はUA値が0.26でした!
窓はすべてトリプルガラス(ダブルLow-E)です。
住宅性能の計算結果や建物の設計など、数十ページにわたる資料を頂いたことで、「住宅性能が足りているんだろうか…。」という不安が解消されました。

エコブレス®のデメリット

取り扱い工務店が限られている

エコブレスはライセンス契約のもと全国でシステムを普及させており、2021年9月時点で代理店は39社で、熱計算から施工の指導まで㈱から屋がトータルでサポートしています。

エコブレスの工法を採用するには、基準に従い正しく精密に設計、施工することができる技術があり、ライセンス契約を行った工務店の中から選ぶ必要があります。北海道内では各地方に普及していますが、全国的にはまだまだ少ないです。

我が家の場合は、最初からエコブレスに決めていたわけではなく、希望するエリアに土地を持っていたのがエコブレス®の工務店でした。

建築コストがかかる

これはエコブレスに限らず、高性能住宅を建てる際にデメリットとなる点です。断熱性能を上げるためには断熱材が多く必要となったり、トリプルガラスを使用するなどコストがかかります。

また、全館空調システムの場合はコストが高くなる傾向にありますが、空調機器が少なくダクトレスのため、一般的な全館空調や全面床暖房に比べると初期費用は抑えられます。

間取りや電気配線に影響がある場合も

エコブレスは暖かい空気を2階へ送るために壁の中に風道を設けます。最適な空調計画のために必要なことですが、多少なりとも間取りに関係してきます。風道を設ける場合には一部の壁を厚くする必要があるほか、その部分には電気配線やニッチを設置することができません。希望の間取り等にするためには工務店とよく相談しましょう。

トイレの背面、パントリー横の壁に風道を設けることになり、トイレとキッチン背面のスペースを9~10cmほど削ることになりました。
一番残念だったのは、リビングのスイッチやリモコンを集めようと思っていた壁が風道に…。空調を重視したかったので、諦めてスイッチの場所を変更しました。

個人的感想:ガラリのデザインが気に入らない

エコブレスに使用するガラリは「城東テクノ」の樹脂製のガラリとなります。品質は良いものだと理解していますが見た目が…!本当は木製ガラリが選べたら良かったです。また、カラーバリエーションがホワイトとブラウン系4色のみで、プラスチック感あふれる色味なのでどうしても床の色と差が出てしまいます。そしてグレー系の床の場合はどうすればいいのでしょうか(泣)

トイレの背面、パントリー横の壁に風道を設けることになり、トイレとキッチン背面のスペースを9~10cmほど削ることになりました。
一番残念だったのは、リビングのスイッチやリモコンを集めようと思っていた壁が風道に…。空調を重視したかったので、諦めてスイッチの場所を変更しました。

まとめ

今回は北海道生まれの全館空調システム「エコブレス」をご紹介しました。

第二種換気はこれまで住宅に取り入れられることは少なかったのですが、PM2.5などの外気清浄を行いやすいということから今後は増えていくのではないかと考えています。

我が家では暖房の熱源は灯油ボイラーの温水パイプを選びました。床下エアコンや電気ボイラーも検討しましたが、真冬は-20℃になる極寒地域ではヒートポンプの性能に不安があったので、まずは灯油ボイラーを選びました。

冷房は2階のエアコン1台のみです。階段と小さな吹き抜けがあるので、空気の循環がうまくいくのではないかという見解です。

実際に住んでみて感じたことは入居後にまた書いていきたいと思います。

参考サイト:株式会社から屋HP

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